消防官採用試験 小論文対策の基本

このページは、これから消防官採用試験の論文対策を始めようとする方に向けたものです。
消防官になるためにはどのような勉強が必要なのかを論文試験に特化して説明しております。受験者の多い東京消防庁対策を念頭において消防官採用試験における論文対策の概略を学べるようにしています。

試験時間

試験時間は90分です。書くスピードは人それぞれですし、どのようなスタンスで試験に臨むかによって変わってくるため一概には言えませんが、

そこまで忙しくはないが、時間に余裕はない試験

であると考えてもらってよいと思います。

たとえば、書き始めるまえの答案構成の時間に15分を費やした場合、記述に使える時間は75分になります。つまり、原稿用紙一枚(400字を)につき25分程度の時間があてられることになります。小学生のときに使ったあの用紙をイメージしてもらえればよいかと思いますが、あの用紙を25分で1枚埋めることになります。

この時間配分ですと、それほど忙しくないように感じると思います。しかし、近年は、「高卒と大卒の3年間の離職率を比較させ、問題点を指摘して改善策を論じさせる」という出題を予想できない論題も出されています。このような出題がされると、0からネタを考えなければならないため、答案構成に15分という時間配分はかなりタイトになると思います。

文字数

消防官採用試験の論文試験における文字数は800字~1200字程度です。つまり、原稿用紙2枚から3枚程度を記述することになります。800字(原稿用紙2枚分)を超えなければおそらく採点対象にはなりません。800字未満は文を読まれずに落第点をつけられて終わりになるでしょう。必ず800字は超えるようにしてください。
では、800字を超えればそれでよいのかと言うとそうではありません。字数を超えていることより論文の中身の方が大切ですから、800字を超えた上で中身のある論文になっていなければなりません。

私の実感ですが、中身のある文は少なくとも1000字を超えるはずです。

論文試験でいうところの中身のある文とは、説得力のある文のことです。使える字数が少なくなればなるほど、文章の説得力を高めることは難しくなります。無駄な記述がないように適切な言葉を選ばなければなりませんし、説得力を出すためには理由付けが必要なのですが、その理由付けに使える字数が少なくなってしまうからです。

繰り返しますが、説得力のある論文を書こうとすると少なくとも1000字は超えてしまうはずです。正直、1000字でも難しいと思います。

私は受講生に解答例を提示することがあるのですが、その解答例はいつも1200字手前でした。他人と差をつけられるだけの説得力のある文章を書こうとすると、どうしても字数は増えてしまいます。だから、試験の指定は800字~1200字程度となっていますが、1200字ぎりぎりまで使うつもりで論文試験に臨む気持ちでいた方がよいでしょう。

論文のテーマ(論題)

消防官採用試験の論文試験は、主に2つのタイプに分けられます。
一つは、自己分析型、もう一つは、社会情勢型です。

社会情勢型は、社会情勢などを与えられ、そこから問題点と解決策を論述させるタイプのものです。社会情勢とその問題点がずばり問題文に書いてあるタイプもあれば、どんな問題点があるかと聞かれたり、グラフなどを与えられてそこから問題点を抽出させられたりするものがあります。東京消防庁で言えば、下記のような論題がこれに該当します。

「資料「高齢者人口及び割合の推移(昭和25年~平成28年)」から読み取れる問題点をあげ、その対応策についてあなたの考えを述べなさい。」(29Ⅰ)

「都市における国際化の進展が及ぼす影響をあげ、それに対する消防行政の取組について、あなたの考えを述べなさい。」(26Ⅰ)

「先般発生した、平成28年熊本地震における災害について、あなたが問題と感じることを2つあげ、その解決方策について述べなさい。」(28Ⅰ)

「資料「家具類の転倒・落下・移動防止対策を実施していない(一部にのみ実施している人は、実施していない部分について)理由」から読み取れる問題点を2つあげ、それぞれの対応策についてあなたの考えを具体的に述べなさい。」(29Ⅰ)

自己分析型は、自分の資質や能力を組織においてどのように生かしていくかを論じるタイプのものです。

「組織において、個々の有する能力を発揮するために大切なことを2つあげ、あなたがどのように実践していくのか具体的に述べなさい。」(28Ⅱ)

「消防職員として働く上で信頼関係の重要性をあげ、信頼関係を築くためにあなたはどう取り組んでいくか述べなさい。」(27Ⅱ)

「都民から信頼される公務員になるために、あなたが必要だと考えることを2つあげ、その理由を具体的に述べなさい。」(29Ⅱ)

「社会人の義務と責任について、あなたの考えを具体的に述べなさい。」(29Ⅲ)

論題によっては、この二つのタイプにまたがるようなものもあります。

上のように羅列されると、何をどこまで勉強すればよいのか分からなくなり、出題範囲は無限に広がってくるかと思います。そう感じてしまうと論文の勉強に終わりが見えなくなるので、精神衛生上よくありません自分なりに分類して整理しておきましょう。消防官論文面接対策塾でも、特定の基準で分類し整理しています。

テーマと試験時間と分量がイメージできれば、論文対策の基本というか概略は押されられたと思います。

採点者

採点者は東京消防庁の職員です。つまり、採点者はあなたの将来の上司です。だから、文章を通してあなたという人間を見ようとしてきます。この論文を書いた人と一緒に働きたいと思うかどうかという視点で論文を採点されるのです。
予備校の模擬試験の採点者は、そうした視点をもっていませんから、単純に文章のよしあしで採点されてしまいます。しかし、採用試験は一緒に働く人間を選ぶ試験ですから、予備校の採点基準とは異なります。予備校の採点と本番の採点とにはギャップがありますので注意してください。もちろん、消防官論文面接対策塾はそのような視点をもった視点で添削もしますし、採点者から評価されるためのコツも指導します。

まとめると、あなたという人間が見えるような文章にすることが大切になってきます。純粋に文章の良し悪しだけで勝負しているわけではないということを覚えておいてください。

筆記用具

採点者目線での話が出たのでここで筆記用具についても伝えたいことがあります。使用する筆記用具は太く濃いものを使ってください。薄くて細いシャープペンシルで書かかれている論文はかなり読みづらいです。濃くはっきりと書いてください。
しかし、東京消防庁の論文用紙のマス目はそれほど大きくないので、鉛筆を使ってしまうと人によってはマス目いっぱいになってしまうと思います。その場合は、シャープペンの芯を濃いものにしてください。

このアドバイスは軽視しないでください。採点に入る前から「よみづらい」と思われると、それだけで印象は悪くなります。いろいろな筆記具を使用してしっくりくるものを探し、字の太さ(細さ)や濃さ(薄さ)を確認しながら、自分と相性のよい筆記用具を見つけてください。

この話はおまけみたいなものですが、意外と大切な話です。