消防官採用試験オンラインスクール レビュー②

“仲間と協力”の罠。情報共有という名の“丸投げ”システム

受講生同士に「情報共有」を促すオンラインスクールには、注意が必要です。

消防官採用試験は、チームで挑むものではありません。そもそも、「チーム」というのは、結果が一蓮托生であるからこそ意味を持つものです。

たとえばスポーツであれば、誰かのミスをチームメイトが補えば、チーム全体として勝利することができます。ミスをした選手も、フォローした選手も、結果として全員が勝者になる。これが「チーム」です。

しかし、受験はそうではありません。あなたが問題を解けなければ不合格となり、勉強仲間が解けたら、その人だけが合格します。
結果は個人に帰属するため、受験という場面においては、チームは成り立ちません。

実際、あるスクールに入っていた私の生徒の話では、

「新潟市消防局のグループLINEに入れられたが、誰も一言も発せず、全く使わないまま終わってしまった」

とのことでした。これはある意味、当然の結果とも言えるでしょう。グループLINEの相手は全員がライバルです。
そのような状況で、自らの合格に関わる情報を進んで共有する動機はないのが現実です。

また、根本的な問題として、

受講料を支払って情報を得たいと考えている受講生が、いつの間にか情報を提供する側に回ってしまっている

という点が挙げられます。

「情報共有」と聞くと聞こえは良いのですが、それが一方的な提供であれば、

スクールの運営を手伝っているのと大差ありません

「合格者」
「チームワーク」
「情報共有」

といった言葉を掲げながら、実際には受講生から情報を引き出し、その成果を他の受講生に還元しているような仕組みであれば、それは受講生自身が、

お金を払ってスクールの運営を支えている状態

なのです。

スクール側は受講生の協力によってコンテンツを維持しつつ、自らは営業活動などに注力する――構造としてはよく考えられた仕組みかもしれませんが、果たしてそれが誠実な運営と言えるでしょうか。

私の塾に相談に来た生徒の多くは、このような仕組みに疑問や不信感を抱いていました。

私自身、「受講料を支払った人が学習に集中できる環境を提供すること」が消防官採用試験のサービスのあるべき姿だと考えていますので、こうしたやり方は私の理念にはそぐわないものだと感じています。